冬の燕山荘で一期一会のマーダーミステリー

宮城ゲートから中房まで

駐車場は驚異の競争率

冬の燕山荘に行くには、宮城ゲートから延々と林道を約13km歩いて登山口まで行くことになりますが、車で宮城へアクセスする場合は有明山神社の駐車場を利用します。
70台程度しか停められないので、満車の可能性大!
12月28日の朝8時半時点で既に満車となっており、どうにか無理くり駐車しました。
本当にどうにもならなければ、穂高駅前か別の駐車場に駐車して、タクシーで来るしかありません。

こちらはかつて利用されていた駐車場ですが、現在は利用不可になっています。
こっちの方が宮城ゲートに近くてよかったんですけどね。

林道中房線を徒歩で

さて、今年もひたすら歩くか・・・。
12月28日時点、7km地点ぐらいまでは、全然雪もありませんでした。
ちなみに道中、携帯(楽天)は圏外です。
歩きつつこの一年を振り返りましたが、とにかくよく遊んだし、よく釣った、充実した2025年でした。

歩いていると暑いぐらいですが、やはり気温は低いのでしょう。
木の枝も凍っています。

シーズン中は中房まで車で来ることができ、第三駐車場まで設けられていますが、第一駐車場が有料化されていてびっくり!
でも週末はものすごく混雑するでしょうから、有料でも予約できて確実に停められるならいいんじゃないかな?と思ったのですが、お値段を調べてびっくりの1日3,000円!
一泊二日で行ったら6,000円もかかるとは・・・おそろしや。

登山は金がかからない趣味って言ったやつ、誰だ?
ちょっと連れてこい。

中房のテント場情報

最近は釣りばっかりで全然歩いていなかったので、体力に不安があったのですが、3時間半で中房に到着してしまいました。
一般的には5時間ほどかかると言われていますが、意外にも体力は落ちていなかったか?
それにしても、全然雪がない。

冬期のテント泊受付は、橋を渡って中房温泉の旅館で行います。
昨年と料金が異なり、2,500円で、お風呂も料金に込みとなっていました。
昨年は幕営料が2,000円でお風呂は950円だったので、お風呂に入りたい人にとっては、実質値下げですね。
荷物のデポはやっていないということですが、テントは張りっぱなしにしておいていいよと、太っ腹。
なお、携帯の電波は入ります。

本日の寝床はこちら。

夕食はあたたかいお鍋をいただきます。
多いかな?と思いつつも持ってきた豚肉198g、ペロリでした。
味付けはフグだし塩で。
鍋の素みたいなものを使わなくても、この塩だけで美味しくいただけます。

中房から燕山荘へ

燕山荘まで約5時間半

翌日、朝9時集合ということで、宮城から登ってきたNおじさん、T青年と合流します。
Nおじさんは冬休みが短いので、毎年宮城から燕山荘まで一気に登るハメになっております。
前日も夜遅くまで仕事がある上に、東京から運転してくる時間もかかるため、睡眠不足で長時間行動という試練を自らに課しています。

さて、ここからようやく登山道。
燕山荘までの高低差は1286m、夏であればコースタイムは4時間ちょっとですが、積雪と林道ダメージ補正で5時間ぐらいかかるかな、と予想。
実際は、5時間半かかりました。

めずらしく、素晴らしい青空です。
これが翌日も続いてくれれば、大天井岳へ縦走したいのですが。
しかしこのような天気はたいてい続かないということを、これまでの経験が、頭の片隅というかど真ん中から声高に叫んできます。

合戦小屋あたりから、風と寒さが厳しくなります。
厳しいと言っても、あまりの晴天で、ガチ手袋じゃなくてウールの手袋で行けるぐらいでした。

合戦小屋を過ぎたあたりから、ようやく稜線歩きのご褒美タイムです。
燕山荘までトータル9時間半の行程ですが、その内8時間ほどは林道と樹林帯という、修行みたいなルート・・・。

しかし天気がいいので、浮かれちゃいますね。

この稜線からは、槍ヶ岳が小槍、孫槍と共に眺められます。
槍周辺はあまり天気がよくなさそう。

Nおじさんが大分疲れてきました。
何しろ寝不足で、もう8時間以上歩き続けていますから無理もありません。
仕事の都合で毎年そうなってしまうので、いつかは中房に泊ってみたいなと、じっと手を見るNおじさん。

大天井への稜線が素晴らしい。

燕山荘直下は夏道と異なり、急な坂を登りきって小屋の西側から玄関へ回り込む必要があります。
トレースや目印があるので、迷うことはありませんが、この部分はとにかく爆風で顔が痛い!
風に耐えて玄関側まで回り込むと、圧倒的な美しさの燕岳が、貴婦人のようなたたずまいで、その身を横たえています。

爆風に耐えて、燕山荘の玄関前に到着。
今年は小屋前に雪だるまを作っていないようです。
しかしこれだけの雪かきをするだけでも、かなりの重労働だったことでしょう。
ありがたや・・・。

冬の燕山荘特典と今回のお部屋

畦地梅太郎のしおりは燕山荘の定番。
更に年末年始営業の時は、ペットボトルの水とチョコレートのプチプレゼントがあります。
ひとつひとつ、手書きでメッセージを書いてくれているんですよ。
心あたたまる、うれしいプレゼントです。

なお冬期は、水はペットボトルのものを売店で購入し、お湯は200mlで500円の無人販売です。
ちなみに燕山荘グループではポイントカードを作ることもでき、グループ共通で、10泊したら1泊無料です。

今回の寝床は、かいこベッドではなく、なんと三人用の個室でした。
燕山荘で個室にあたったのは初めてです。

小屋に着いたら最初にすべきこと

何はなくとも、まずはビールですよね。
この地ビールの他、各種缶ビールもありまして、確かスーパードライと一番搾りはあったかと思うのですが、記憶にございません。
ちなみに350mlで700円です。

Nおじさんは彗星のごとく宮城ゲートからやってきて、燕山荘で燃え尽きました。
相変わらず顔芸が冴えています。
小屋着が15時ごろだったので、ちびちび飲みつつ夕食まで2時間程度です。

T青年はお腹(胃とも腸とも分かりませんが)の調子がいまひとつで、酒が進まないというのですから、これは重症です。

T  「う~ん、これはモツの異常かなぁ」
N  「私はなんだか心臓が痛くて」
T  「それはハツの異常ですね」
T&N「ホルモンの異常かな」

お後がよろしいようで。

一日目の夕食

燕山荘の夕食と言えばハンバーグです。
冬は洗い物を減らすために、紙皿での提供です。
山小屋での皿洗いでは、ハンバーグソースが付くような、油汚れのお皿一枚が減るだけで、必要な水の量がかなり減ると思います。
薬師沢小屋で皿洗いをした身としては、たかが皿一枚の重さがよくわかります。

ヤマテン天気予報

燕山荘では、夕食時にヤマテンの天気予報が発表されます。

「皆さま、お食事を召し上がりながらお聞きください。明日の天気ですが、えー・・・大変申し上げにくいのですが・・・」

皆がくすっと笑いますが、心中はどうであったでしょうか。

「この時期らしいお天気といいますか、風雪が強まり・・・」

と、残念な予報でした。

夕食後、さっそくNおじさん死亡。
我々も疲労を感じ、早々に寝ることとしました。

燕山荘二日目

天気が悪いので二度寝

朝6時からの朝食を頂きつつ窓の外を見ても、何も見えない真っ白け。
そして風がビュービューうなっています。
天気が良ければ縦走するはずだったのにな、とガッカリ半分、やっぱりこの時期の天気はそうだよねと、あきらめ半分、いやあきらめ全部。
仕方ないから布団の様子を見に(二度寝)行くことにしましょう。

食堂の掃除が終わって談話室として開放される頃をみはからって、1階に降ります。
とりあえずお茶でも飲みながら、せめて燕岳の山頂ぐらいは踏もうかどうしようかと、どうせ行きもしないくせに相談するフリをしました。
もともとは大天井岳まで縦走を計画しており、天気が荒れたら燕岳にしておこうって言っていたのに、ストーブだらけで快適、かつお金で酒も食べ物も手に入る燕山荘にいると、なんかもう、いっかなーって。

ウェンディ、大人になって

というわけで始まったのが、恒例のマーダーミステリー。
マーダーミステリーとは、プレイヤーが登場人物になりきって、一度限りのストーリーを楽しみながら、謎解きや犯人捜しをするゲームです。
今回は5人用の、「ウェンディ、大人になって」を持参。

こちら5人用ですが、我々は3人なので、二人連れをナンパすべく物色し、とあるご夫婦を巻き込むことに成功しました。

ストーリーとしては、九十九(つくも)博士が主催する実験に参加した4人と、アンドロイドのウェンディ(計5人)のお話です。
ウェンディは九十九博士の娘(真央:12歳で事故死)そっくりのアンドロイドですが、実験施設のメインルームで無残な姿をさらしていました。
そしてウェンディは、施設のメインコンピューターのモニターから、実験の参加者に向かって呼びかけます。

「残念ながら、私は殺されてしまいました。その犯人がみなさんの中にいることは、間違いありません。」

実験の参加者には、ウェンディの元になった真央の父もいますが、父は記憶がなくて戸惑っている様子だし、なんか条件を満たさないと全員施設にとらわれて生贄になると言われるし、自分自身の記憶もところどころ曖昧で、一体どうなっているの!?となります。

徐々に明らかになっていく記憶の断片から、あなた方はどんな結末を導き出すのか?
そしてこの施設から脱出できるのか?
ウェンディは大人になれるのか!?

冬の燕山荘ランチ

ひとしきりマーダーミステリーを楽しみ、満足したころには、お昼近いお時間。
ランチにしますかね。

ランチメニューは、冬でも結構豊富。
このメニュー表にはありませんが、キャロットケーキも販売されていました。

ちなみにスマホの充電はセルフ方式、1回100円ですが、時間制限はありません。
充電器がなくても、ちゃんとUSBポートまであって、本当に至れり尽くせりです。
しかも連泊客は1回無料券がもらえます。

夕食の連泊メニュー

そうやってダラダラしてる間に、夕食のお時間です。
山小屋には連泊客向けのメニューがあることがありますが、燕山荘ではこんな感じでした。
限られた休日で山に行くサラリーマンにとって、燕山荘で連泊という贅沢は初めてだったので、テンション上がりますね!

しかも夕食のテーブルが、ウェンディ夫婦と一緒というミラクル!
このご夫婦が、なんともホッコリさせてくれるいいご夫婦で、普段仕事で心がピッキピキにささくれている身に染みるのです。

「すごく仲良さそうで素敵ですけど、夫婦円満の秘訣ってなんですか?」
「うーん、笑うこと、互いに感謝すること、あと忘れることですかね」
「なる・・・ほどぉ・・・」

でも幸せの形は、人それぞれかな!
と自分をなぐさめたかどうかは分かりませんが、楽しそうであることには違いない。

へべれけになるまで飲んで、ウェンディにだいぶからんで求婚して、LINEのIDを押し付けて、記憶喪失になるほどぐっすり眠りました。
翌朝、ご主人の方にロビーで会った時、おはようとあいさつしたところ、

「おー!覚えとってくれたんかー!」

と満面の笑顔で言ってくれました。

下山の日

冬山らしい景色の下山

さて12月31日、いよいよ下山の時です。
ヤマテンの天気予報によれば、「登山に慣れていない人は、1月1日の下山をおすすめ」という悪天候予報。
グズグズとコーヒーも飲んでみたりしつつも、とっとと降りてビールを飲むべしと、支度にかかります。
小屋の玄関でアイゼンが装着出来たらラクなんだけどなーという、冬山登るくせに甘えてんじゃねぇと言われそうな思いをぐっと飲み込みます。

燕岳の姿が見えるぐらいなので、意外に荒れていない。

冬山らしい、いい感じの天気です!
やっぱこれだね!とか言いながら、ほどよい風雪の中をルンルンで下山します。
途中、ウェンディ夫婦と再会し、
「あれ!?コーヒー飲んでませんでしたっけ!?」
と言われるぐらいには、足が速い我々でした。

中房でデポ回収

2時間ほどで、あっという間に中房に到着。
デポしておいた私の幕営装備一式を、ザックに詰め込みました。

持っているものが、ペアルックか?というほどT青年とかぶりまくり。
つきつめたら、結局同じところにたどり着くのかなという気もします。

かぶっているのは、見えている範囲で、ザック、アイゼン、ピッケル、手袋です。
写真にないものだと、テント、ヘッドライト、スノーソー、タープあたりかな。

お手頃価格でおすすめなのは、ラックナーのウール手袋です。
丈夫で多少の防水性能があり、使うほどフェルト状になって手になじむ。
これにぺらぺらのオーバーグローブを重ねるのが冬山での最適解という意見が多数ですし、私もあれこれ使った結果、同意しております。
普段使いにもおすすめ。

ザックとアイゼンは高価かつ、あまり一般的でないので省略しますが、ピッケルはめちゃくちゃ軽いので、これから買おうと考えている方にはおすすめです。
なにこれ!?というぐらい軽いのですが、お好みの長さのものが手に入るかがキモですね。

ちなみに「ピッケル おすすめ」というワードで検索したら、My bestというサイトが上位にあがりましたが、縦走用もアイスクライミング用も、一緒くたにランキングに入っていて、なんてでたらめなんだろうと驚きました。

ザックとアイゼンも、お値段やスペックを知りたい方のために、参考までに載せておきます。

林道歩きの下りは、かなり苦痛

中房まではさっさか降りてこられるのですが、ここから13kmの林道下りです。
ちなみに今回の所要時間は、3時間20分でした。

これが登りより辛い・・・・・。
冬山の下りは足の爪を殺しがちですが、今回は、手で言えば人差し指にあたる爪が死にました。
つま先がダメージを受けないよう、靴ひもをきつく締めたり、歩き方も注意したりするのですが、なんだかんだでつま先をやってしまうんですよね。
死んだ爪は徐々にゾンビ色になって、下から新しい爪がうまれてくるものの、なかなかに痛々しいような気持ち悪いような見た目になっていきます。
登りのときの靴擦れもあったりして、みんな痛い痛い言いながら下りました。

下山後は年越しの宴会

下山後、野郎二名はしゃくなげの湯でひとっ風呂あびに行きます。
年末のしゃくなげの湯は大変な混雑らしいですので、燕山荘の年末年始営業とからめて計画を立てている場合は、覚悟を持って行かれたし。

私は公衆浴場は狂気の沙汰ぐらいに思っているので、自宅(宮城から車で10分)でシャワーを済ませて、宴会の支度をします。
ここ数年は、年末年始は同様のパターンで年を越しており、専業主婦をしていた頃の

「盆正月はサイアク」

から解放されて超ハッピーです。
もちろん全ての主婦の盆正月がユウウツなものとは限りませんが、私には、ちょっと語り尽くせない事情があったのですよ。

年ごとに、色々な事情やケガなどの理由で参加メンバーが変動しますが、来年はみんなで行けるかな。
あと何回、こんな年越しができるのかな。
私に残されたお正月は、あと何回なのかな。
なんて、50歳を過ぎたあたりから、自分自身や仲間、家族の死について、現実味を持った近い未来のこととして考え出すようになりました。

宴もたけなわですので、酔った勢いで庭に出て焚火をし始めました。
庭で焚火ができるって、マジ最高!
クッソ寒いけど、星がきれいで楽しい大晦日です。

そして例の如く、Nおじさんは早めに撃沈。

一切記憶にございませんが、例の如く、とりあえず踏んづけておいたらしいです。

Nおじさんは踏まれたがりらしいので。

と、燕山荘よりも寒い(暖房をケチっているから)我が家で年越しをし、お雑煮を食べて、2026年が始まりました。
1月4日から仕事始めなので、死ぬほどユウウツではありましたが、ウェンディ(役)からLINEがあったので、大変幸せな気分になれました。
今年もいい年越しだったな。